今日は、直接請求によって、現在の幼稚園・保育所のあり方計画に疑問を呈し、昨年の9月議会で採択された、精道幼稚園、朝日ヶ丘幼稚園、精道保育所の廃園・廃所の条例の撤回と、公立幼稚園での3年保育を定める事を求めた条例に対して、本会議と民生文教常任委員会が行われました。
今日の議論については、①直接請求について ②公立幼稚園の3年保育について ③廃園を定めた条例の改正について、3点の具体的な議論と、芦屋市における多様性を確保した幼児教育&支援という大きな施策の方向性があったと思います。
議論の詳細は、議事録を読んだ頂きたいと思いますが、委員会では、条例は否決(幼稚園などの廃園はそのまま)という結果となりました。
私が気になりましたは「直接請求について」です。
市長をはじめすべての委員さんは、直接請求権を施行したことには「敬意を払いたい」という言葉が発せられていましたが、その後に続く言葉を耳にいたしましたら、直接請求権の意味するものについて、理解されているのか疑問を感じる発言が少なくなかったように思います。まずは、芦屋市議会では、「参考人招致」の制度がありますが、今回もスケジュールや参考人の選定がむずかしいという趣旨で、招致されていませんでした。また、質疑の中での発言としては、廃園などの条例が可決されたばかりなのに時間をおかずに直接請求に疑問。署名の6300筆は少人数ではないが、有権者の10分の1もいない。直接請求が出されたことは異例なこと。署名活動の中で事実と異なる説明・主張があったなどとありました。
加えて、市長さんからは「議会で採択された条例を撤回する条例に反対する議員は存在しないと考える」と、議会に圧力をかけたと受け取られかねない発言もありました。
多くの政策本や研究所を出版している「ぎょうせい」から出されている「地方自治法講座 3 住民参加制度」では、「直接請求の署名の効力の確定及び署名に関する罰則(太田宏美氏)」として、「直接請求制度は、現在の地方自治制度が基本的によって立つ間接民主制度原理の欠陥を補し、住民の意思を直接地方行政に反映させるためのものである。」と位置づけられています。言い換えると、行政や議会が住民の意思と異なる方向を見ている時に、それを是正させるための手法だと言えます。今回に関しては、「唐突な計画発表、不確定な事案が多い中での推進、国の3歳児教育無償施策への影響などを踏まえてしっかりと考え直せ」と住民さんから待ったをかけられたのだと思います。またこの制度は単に、直接民主政治を認めるのでなく、その反面、制度の乱用を規制するために、請求を行うにあたり有権者の一定数以上の署名を義務付けており、容易に施行くすることは難しいものとなっています。
私は選挙で皆様から選んで頂き、その重みを感じるだけでなく信念をもって、それぞれの議案に対して賛否を表する努力をしています。しかしながら、芦屋市民からすべてにおいて「白紙委任」されているとは思っておりません。
前回の市議会選挙では、2,478人に方が私に投票をしてくださいましたが、その時の有権者数は、76,964人ですので、有権者のわずか3.22%の支持しか頂いておりません。勿論、私に投票してくださった方の想いを大事にしたいという気持ちはありますが、芦屋市の市議会議員となったからには、他の候補者に投票した方、投票行為をされなかった方の想いにも耳を傾ける必要はあるのだと思います。また、住民さんの意向が常に正しいとも考えませんが、一定数の住民さんからの「これはちがう」と意思表明された行為については、真摯に受け止めたいと思います。
私は今回の直接請求に署名した方の中にも、正確に現行の計画を理解していない人もいらっしゃると思いますし、署名活動の中で、誤解を招く説明をされる方も中にはいらっしゃったかもしれません。しかし、これは住民さんに限ったものでなく、議会側にも正確に理解されていない議員さんも存在するように思います。特に今回の計画は、市内全域にわたるだけでなく、途中で計画変更もありました。
私は、決定過程(ものごとの決め方)にこだわるタイプであり、これまでも、何度も述べておりますが・・・
看板条例なども含めて、これまでの権利やサービスを変更する施策、とりわけ規制する施策に対しては、段階を経た情報公開の必要性や丁寧な住民さんの意向の拾い上げを感じます。